三大タブーに負けずに、これからの暮らしを整える

「死」「お金」「性」。

この3つは、日本では人前で話しにくいテーマと言われることがあります。いわゆる「三大タブー」です。

  • 死の話をすると、「縁起でもない」と思われそう。
  • お金の話をすると、「がめつい」と思われそう。
  • 性やパートナーシップの話をすると、「恥ずかしい」「踏み込みすぎ」と受け取られそう。

そんな空気があるため、家族の中でもなかなか話題にしにくいことがあります。

もちろん、これらがデリケートな話題であることは間違いありません。

大けがや病気で苦しんでいる家族を前に、無理に死の話をするべきではない場面もあります。お金についても、防犯上、年収や貯金額を誰にでも話すべきではありません。性の話も、大勢の前で大きな声で話すようなことではないでしょう。

慎重に扱うべき話題であることに、異論はありません。

けれど、デリケートだからといって、まったく話さないままでよいのかというと、そこは別の問題です。

これからの暮らしを整えるためには、「死・お金・性」というテーマから、必要以上に目を背けないことが大切だと思います。

話しにくいことほど、後回しになりやすい

話しにくいテーマは、どうしても後回しになります。

「まだ元気だから」
「縁起でもないから」
「お金の話はしにくいから」
「パートナーシップの話は踏み込みすぎかもしれないから」

そう考えているうちに、何も話さないまま時間が過ぎていくことがあります。

しかし、いざというときに困るのは、残された家族やパートナーです。

大切なのは、誰にでも何でも話すことではありません。必要な相手と、必要なタイミングで、必要な範囲の話をしておくこと。

それが、これからの暮らしを整えるうえで、とても大切な準備になります。

相続には「死」と「お金」が深く関わる

たとえば、相続。

相続には、「死」と「お金」が大きく関わります。

  • 誰かが亡くなった後、財産を誰が引き継ぐのか。
  • 自宅はどうするのか。
  • 預貯金はどう分けるのか。
  • 残された配偶者は、これからどこで、どう暮らしていくのか。

これは、決して一部の特別な人だけの話ではありません。どの家庭にも関係する、とても現実的な話です。

ところが、相続の話はどうしても避けられがちです。「まだ早い」「縁起でもない」「お金の話はしにくい」と後回しにしているうちに、いざ相続が起きたとき、残された家族が困ってしまうことがあります。

相続は、暗い話ではありません。残される人の暮らしを守るための、現実的な準備です。

子どものいない夫婦の相続は、思っているより複雑になることがある

特に、子どものいないご夫婦の場合は、相続のルールを知らないままだと、思っていた以上に複雑になることがあります。

「夫が亡くなったら、妻がすべて相続できる」
「妻が亡くなったら、夫がすべて相続できる」

そう思っている方もいるかもしれません。

しかし、法律上は必ずしもそうなるとは限りません。

子どもがいない場合、亡くなった方の親が相続人になることがあります。親がすでに亡くなっている場合は、兄弟姉妹が相続人になることもあります。さらに、兄弟姉妹が先に亡くなっている場合には、その子どもである甥や姪が相続人になることもあります。

つまり、残された配偶者が、義理の親族と相続の話し合いをしなければならない場面があるのです。

これは、暮らしに大きく関わる話です。

  • 住み慣れた家にそのまま住み続けられるのか。
  • 預貯金を生活費として使えるのか。
  • 相続人全員で話し合いがまとまるのか。

こうしたことは、残された配偶者の生活に直結します。

だからこそ、元気なうちに、相続や遺言書について少しずつ考えておくことが大切です。

同性・内縁パートナーと暮らす人にも備えは大切

また、同性や内縁のパートナーと暮らしている方にとっても、相続や財産の引き継ぎはとても大切なテーマです。

法律上の婚姻関係がない場合、何も準備していなければ、パートナーが当然に相続人になるわけではありません。

一緒に暮らしてきた人がいる。生活を支え合ってきた人がいる。

そういうケースでは、遺言書や契約書などを使って、あらかじめ備えておくことが重要になります。

ここには、性やパートナーシップの話も関わってきます。

性やパートナーシップの話は、たしかに慎重に扱うべきテーマです。ただ、話しにくいからといって避け続けてしまうと、大切な人を守るための準備ができないままになってしまうことがあります。

家族でいきなり重い話をしなくてもいい

もちろん、何でもかんでも重く話す必要はありません。

家族でいきなり深刻な話し合いをするのは、ハードルが高いと思います。相続やお金、パートナーシップの話を急に切り出すと、相手が驚いてしまうこともあるでしょう。

でも、少しずつでいいのです。

たとえば、こんな話題から始めることができます。

「もしものとき、家はどうしたい?」
「通帳や保険のこと、どこまで共有しておく?」
「自分が入院したら、誰に連絡してほしい?」
「ペットの世話は誰に頼める?」
「パートナーに何を残したい?」

こうした話を、元気なうちに少しずつしておく。

それだけでも、これからの暮らしはかなり整いやすくなります。

大切なのは、一度で全部決めることではありません。話しにくいテーマを、少しずつ暮らしの中に置いていくことです。

タブーを無視する必要はない

大切なのは、タブーを無視したり軽視したりことではありません。

死の話を、暮らしの話として考える。
お金の話を、安心の話として考える。
性やパートナーシップの話を、その人らしい生き方の話として考える。

そうやって見方を変えると、重たい話ではなく、これからを安心して暮らすための準備として向き合えるようになります。

相続も、遺言書も、任意後見も、死後事務も、ペットの備えも、根っこにあるのは同じです。

大切な人を困らせないため。
自分の意思を残すため。
これからの暮らしを守るため。

そのための準備です。

まとめ|話しにくいことほど、暮らしを守る入口になる

死の話も、お金の話も、性やパートナーシップの話も、避けてしまえば安心というものではありません。

もちろん、慎重に扱うべきデリケートな話題です。誰にでも何でも話す必要はありません。

けれど、必要な相手と、必要なタイミングで、必要な範囲を共有しておくことは、これからの暮らしを整えるうえで大きな意味があります。

三大タブーに負けずに、これからの暮らしを少しずつ整えていく。

その一歩が、家族やパートナーを守ることにつながります。

今日の内容が、身近な人と話すきっかけになれば幸いです。