子どものいない夫婦の相続の基本まとめ|法定相続人・法定相続分・遺留分・遺言書

子どものいないご夫婦の場合、 「夫が亡くなったら、財産はすべて妻のものになる」 「妻が亡くなったら、夫が全部引き継ぐ」 と思われている方も少なくありません。

夫婦で長年暮らしてきた家や預貯金は、夫婦で築いてきたもの。 だから、どちらかが亡くなったときには、残された配偶者がそのまま引き継ぐのが自然だと感じる方も多いでしょう。

しかし、法律上は必ずしもそうなるとは限りません。

子どものいないご夫婦の場合、亡くなった方の親や兄弟姉妹、 場合によっては甥や姪が相続人になることがあります。

相続には、「死」や「お金」という、普段は話しにくいテーマが関係します。

そのため、本当は知っておいた方がよい大切なルールが、 家庭の中でも社会の中でも広がりにくいのかもしれません。

でも、相続は決して暗い話ではありません。

残される人の暮らしを守るための、現実的な準備です。

この記事では、子どものいないご夫婦に知っておいていただきたい相続の基本として、 次の4つを解説します。

  • 法定相続人
  • 法定相続分
  • 遺留分
  • 遺言書

法定相続人とは

法定相続人とは、亡くなった方の財産を引き継ぐ人として、 法律で決められている人のことです。

まず、配偶者は常に相続人になります。

夫が亡くなれば妻が、妻が亡くなれば夫が相続人です。

そして、配偶者と一緒に相続人になる人には、順番があります。

  • 第1順位:子ども
  • 第2順位:親などの直系尊属
  • 第3順位:兄弟姉妹

子どものいないご夫婦の場合、第1順位である子どもがいません。

そのため、亡くなった方の親がご存命であれば、 配偶者と親が相続人になります。

ここでいう親は、残された配偶者から見ると、義理の親にあたる方です。

そして、子どももおらず、親もすでに亡くなっている場合には、 配偶者と亡くなった方の兄弟姉妹が相続人になります。

さらに、兄弟姉妹が先に亡くなっている場合には、 その子ども、つまり甥や姪が相続人になることもあります。

「子どもがいないから、相続は単純」と思われがちです。

しかし、実際には子どもがいる家庭よりも関係者が広がり、 手続きが複雑になることがあります。

ここは、子どものいないご夫婦にとって、とても大切なポイントです。

法定相続分とは

法定相続分とは、法律で決められている相続の割合のことです。

ただし、実際の相続では、必ず法定相続分どおりに分けなければならないわけではありません。

相続人全員で話し合い、全員が納得すれば、 分け方は自由に決めることができます。

一方で、話し合いがまとまらない場合には、 この法定相続分が大きな目安になります。

子どものいないご夫婦の場合、主に次のようなパターンがあります。

相続人が配偶者だけの場合

亡くなった方に子どもがいないだけでなく、 親も兄弟姉妹も甥姪もいない場合は、配偶者が100%相続します。

配偶者と親が相続人になる場合

配偶者と亡くなった方の親が相続人になる場合、法定相続分は次のとおりです。

  • 配偶者:3分の2
  • 親:3分の1

配偶者と兄弟姉妹が相続人になる場合

配偶者と亡くなった方の兄弟姉妹が相続人になる場合、法定相続分は次のとおりです。

  • 配偶者:4分の3
  • 兄弟姉妹:4分の1

兄弟姉妹の法定相続分は、25%です。

25%と聞くと、「それほど多くない」と感じる方もいるかもしれません。

しかし、金額にすると大きな負担になることがあります。

財産の中心が自宅の場合は注意が必要です

たとえば、亡くなった方の財産が4,000万円だったとします。

配偶者と兄弟姉妹が相続人になる場合、 兄弟姉妹の法定相続分は4分の1です。

4,000万円の4分の1は、1,000万円です。

つまり、兄弟姉妹に1,000万円分を渡す必要が出てくる可能性があります。

預貯金が十分にあれば、現金で調整できるかもしれません。

しかし、財産の多くが自宅不動産だった場合はどうでしょうか。

たとえば、財産4,000万円のうち、 自宅が3,500万円、預貯金が500万円だった場合。

兄弟姉妹に渡すべき金額が1,000万円だとしても、 手元の預貯金は500万円しかありません。

この場合、残された配偶者が自宅に住み続けたいと思っても、 兄弟姉妹に渡す現金が足りないという問題が起こります。

その結果、自宅を売却してお金に換え、 分けることを考えなければならない可能性もあります。

相続は、単なる数字の問題ではありません。

  • 残された配偶者が、これからどこに住むのか
  • 生活費をどう確保するのか
  • 住み慣れた家で暮らし続けられるのか

そうした暮らしに直結する問題です。

遺留分とは

ここで大切になるのが、遺留分というルールです。

遺留分とは、一定の相続人に認められている最低限の取り分のことです。

遺言書で「すべての財産を特定の人に相続させる」と書いてあったとしても、 遺留分がある人は、一定の金銭を請求できます。

遺留分があるのは、主に次の人です。

  • 配偶者
  • 子ども

一方で、兄弟姉妹には遺留分がありません。

ここが、子どものいないご夫婦にとって非常に重要です。

兄弟姉妹には遺留分がありません

相続人が配偶者と兄弟姉妹になる場合、 兄弟姉妹には遺留分がありません。

そのため、遺言書で「すべての財産を配偶者に相続させる」と書いておけば、 兄弟姉妹は遺留分を請求することができません。

兄弟姉妹に遺留分がないというルールを知っているかどうかで、 残された配偶者の生活を守れる可能性が大きく変わります。

これは、あまり知られていませんが、とても大切な相続のルールです。

遺言書は配偶者の生活を守る備えになります

では、子どものいないご夫婦が、 残された配偶者の暮らしを守るためには、どうすればよいのでしょうか。

その有効な方法の一つが、遺言書です。

遺言書という言葉は、多くの方が聞いたことがあると思います。

ただ、実際には「まだ早い」「財産が多い人が作るもの」「縁起でもない」と感じて、 なかなか作成まで進まない方も多いのではないでしょうか。

しかし、子どものいないご夫婦にとって、 遺言書は単なる財産分けの書類ではありません。

残された配偶者の住まいと生活を守るための、大切な備えです。

特に、相続人が配偶者と兄弟姉妹になるケースでは、 遺言書の効果は大きくなります。

たとえば、遺言書に 「すべての財産を配偶者に相続させる」 と書いておく。

この場合、兄弟姉妹には遺留分がないため、 遺留分を請求することはできません。

その結果、残された配偶者が自宅や預貯金を引き継ぎやすくなります。

遺言書は「書けばよい」だけではありません

もちろん、遺言書には法律上のルールがあります。

自筆証書遺言であれば、自分で作成することもできます。

ただし、日付・署名・押印など、守るべき要件があります。

書き方を間違えると、せっかく作った遺言書が無効になってしまう可能性もあります。

また、より確実に残したい場合には、公正証書遺言を検討する方法もあります。

大切なのは、「とりあえず書く」ことではありません。

残された配偶者の生活をどう守るかを考えたうえで、 内容を設計することです。

まとめ

子どものいないご夫婦の場合、相続は配偶者だけで完結するとは限りません。

亡くなった方の親がご存命であれば、配偶者と親が相続人になります。

親がすでに亡くなっている場合は、 配偶者と兄弟姉妹が相続人になることがあります。

さらに、兄弟姉妹が先に亡くなっている場合には、 その子どもである甥や姪が相続人になることもあります。

そして、配偶者と兄弟姉妹が相続人になる場合、 兄弟姉妹の法定相続分は4分の1、つまり25%です。

財産の中心が自宅だった場合、この25%が大きな負担になることがあります。

一方で、兄弟姉妹には遺留分がありません。

そのため、遺言書で「すべての財産を配偶者に相続させる」と書いておくことで、 残された配偶者の住まいや生活を守りやすくなります。

子どものいないご夫婦にとって、遺言書は決して特別な人だけのものではありません。

夫婦で築いてきた暮らしを、残された配偶者にきちんとつなぐための備えです。

「うちは大丈夫」と思っている方ほど、一度立ち止まって考えてみてください。

もし明日、配偶者に万が一のことがあったら。 誰と、どのような話し合いをすることになるでしょうか。

相続の準備は、亡くなった後の話ではありません。

今の暮らしと、これからの安心を守るための準備です。

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行政書士ようこオフィスでは、 ご家族関係・財産・住まい・これからの暮らしを整理しながら、 残された配偶者が困らないための備えを一緒に考えます。

初回相談は無料です。 「うちの場合、遺言書は必要なの?」という段階でもご相談いただけます。

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