70代で猫を飼うのは無理?高齢者が知っておきたい注意点と備え

70代になって、「猫と暮らしたい」と思う方は少なくありません。子どもが独立し、仕事もひと段落して、これからの暮らしを自分らしく整えたい。そんな時期に、猫のいる生活に魅力を感じるのはとても自然なことです。
猫は、毎日の暮らしにぬくもりを与えてくれます。静かに寄り添ってくれる存在がいるだけで、気持ちが和らぎ、生活に張り合いが生まれることもあるでしょう。散歩が必要な犬と比べると、室内で暮らしやすく、体力面での負担が比較的少ない点も、猫と暮らしやすい理由の一つです。
ただ、その一方で、70代で猫を迎えるときには、若い頃とは違う視点も必要です。大切なのは、「今、自分が飼いたいか」だけでなく、「もし自分に何かあったとき、この猫をどう守るか」まで考えておくことです。
猫と暮らすメリットは、まず毎日のリズムが整いやすいこと。朝起きてごはんを用意し、トイレを確認し、体調の変化に気づく。そうした日々の積み重ねが、生活に自然な役割を生みます。また、ひとり暮らしや夫婦ふたり暮らしの方にとっては、猫が心の支えになることもあります。言葉はなくても、そばにいる存在の大きさを感じる場面は多いものです。
しかし、注意しておきたい点もあります。まず、猫の平均寿命は15年を超え、20年以上のご長寿さんも増えています。今70代で子猫を迎えた場合、その猫が高齢になる頃には、飼い主も80代、90代になっているという現実は見過ごせません。途中で病気や入院、施設入所などがあれば、急にお世話ができなくなることもあります。子猫ではなく、成猫を迎える。または、飼うのではなく、預かりボランティアをやってみるという選択肢もおすすめです。ぜひ、検討してみてください。
また、猫自身にも医療や介護が必要になることがあります。高齢になると通院が増えたり、投薬が必要になったりすることもあります。元気なときには想像しにくいのですが、猫との暮らしには、毎月の飼育費だけでなく、医療費や緊急時の対応まで含めた備えが必要です。
さらに見落とされやすいのが、飼い主が亡くなった後のことです。家族がいるから大丈夫、子どもが何とかしてくれるはず、と思っていても、実際には引き取れないこともあります。住宅事情、仕事、先住ペットとの相性、経済的負担など、事情はそれぞれです。何も決まっていないままでは、大切な猫が行き場を失ってしまうおそれがあります。
こうした悲しい事態を防ぐために役立つのが、「ペット後見」という考え方です。
ペット後見とは、飼い主が入院したとき、判断力が低下したとき、あるいは亡くなったときに備えて、猫の暮らしをどう守るかをあらかじめ考え、準備しておくことです。法律で決まった一つの制度というよりも、「誰に託すのか」「どこで暮らすのか」「必要なお金はどうするのか」を前もって整えておく考え方だと思っていただくと分かりやすいでしょう。
たとえば、次のような備えが考えられます。まず、①緊急時に連絡できる家族や知人を決めておくこと。次に、②猫の名前、年齢、かかりつけ動物病院、持病、食べているフード、投薬の有無などをメモにまとめておくこと。そして、③入院や死亡のときに引き受けてくれる候補者について、事前に話し合っておくことです。
さらに、必要に応じて、④負担する費用や引き継ぎ方法を契約や遺言などの形で整理しておくことも有効です。口約束だけでは、いざというときに話が進まないことがあります。猫を守りたいという気持ちを、きちんと形にしておくことが大切です。
70代で猫を飼うことは、決して無理なことではありません。大切なのは、年齢だけであきらめることではなく、自分の暮らしや健康状態、家族関係、経済面をふまえて、責任ある形で迎えることです。
猫との暮らしは、これからの毎日を豊かにしてくれる可能性があります。だからこそ、「今は元気だから大丈夫」で始めるのではなく、「もしものときにも守れる形」を考えてから迎えることが大切です。それは、猫のためでもあり、ご自身が安心して暮らすためでもあります。
当事務所では、飼い主にもしものことがあった場合に備え、家族との話し合い、遺言書などを含めた準備についてご相談を承っています。猫とのこれからの暮らしを安心して始めたい方は、どうぞお気軽にご相談ください。詳しくはコチラからどうぞ。
