自筆証書遺言を作成したい方へ|基本と注意点を解説!

最近はスマホやパソコンでなんでも済ませる時代ですが、「遺言書」は今でも紙に手書きする方法が基本です。

この形式を「自筆証書遺言(じひつしょうしょゆいごん)」といいます。

費用をかけずに自分ひとりで作れる点は魅力ですが、法律で決められた形式に従わなければ無効になるリスクあります。

この記事では、自筆証書遺言を作成したい方向けに用紙の選び方から作成時の注意点までやさしく解説します。

自筆証書遺言とは

「自筆証書遺言」は、その名のとおり自分の手で紙に書く遺言書です。

パソコンや音声では作成できません。

自宅で気軽に作成できる反面、書き方を間違えるとせっかくの遺言が無効になってしまいます。

きちんとルールを押さえておくことが非常に大切です。

2020年からは法務局の保管制度も始まり、3,900円で紛失や改ざんの対策ができます。

自筆証書遺言の要件

以下の要件を満たさなければ、自筆証書遺言は無効になります。

  • 全文の自筆(本人の手書きであること)
  • 日付(年月日を正確に 例:2025年6月14日)
  • 署名(フルネーム)
  • 押印(認印でも有効・シャチハタはNG)

用紙・筆記具について

自筆証書遺言の作成におすすめの用紙や筆記具について解説します。

用紙

自筆証書遺言に使う紙の種類には、法律上の決まりはありません。

極端な話、チラシの裏にボールペンで手書きしても有効です。

ただし、見やすさや長期保存を考慮して、適切な用紙を選びましょう。

  • 白い無地の用紙(A4コピー用紙などでOK)
  • 法務局のホームページからダウンロードできる様式(おすすめ!)

 → 自筆証書遺言書保管制度(法務省)

筆記具

筆記具も、見やすさや長期保存を考慮して選びましょう。

  • 消えないインクのボールペンや万年筆が最適
  • 鉛筆、消えるボールペン、修正テープ・修正液の使用はNG

よくある失敗と対策

自筆証書遺言を紙に書く際、最も注意すべきなのが「形式ミス」や「内容の不備」です。

せっかく思いを込めても、些細な間違いで無効になってしまうケースは少なくありません。

ここでは、特に多い3つの失敗とその対策をお伝えします。

①日付があいまい

たとえば「令和7年6月吉日」や「2025年6月」のように、具体的な日付を特定できない表現で書かれていると、その遺言書がいつ作成されたものなのかが判断できません。

複数の遺言書がある場合、日付が新しいものが優先されるため、日付不明の遺言は無効です。

必ず「2025年6月14日」など、年月日を正確に記載するようにしましょう。

②内容に矛盾がある

たとえば、本文の前半では「長男に不動産を相続させる」と書かれているのに、後半では「不動産はすべて次男に渡す」と記されていた場合、どちらの内容が有効なのか判断がつかなくなります。

こうした矛盾があると、遺言そのものの信頼性が疑われ、相続人同士の争いにも発展しかねません。

内容があいまい

たとえば「預金は家族で仲良く分けてください」や「猫の世話をよろしく」といった書き方では、誰に何を託すのかが明確でなく、法的な効力が認められない可能性があります。

遺言は法律文書ですので、「○○銀行△△支店 普通口座1234567を長女○○に相続させる」というように、財産や受け取る人を具体的に特定することが大切です。


保管と見つけやすさの工夫

自筆証書遺言は自宅で保管しても構いませんが、誰にも見つけてもらえなければ存在しないのと同じです。

2020年からスタートした法務局の保管制度を利用すれば、遺言者の死後に特定の人に通知が行くため、遺言書の存在に気付いてもらえます。

また、家庭裁判所の検認手続きが不要なので、死後の相続手続きもスムーズです。

自筆証書遺言を作成するなら、保管制度をぜひ活用しましょう。

【まとめ】自筆証書遺言の作成は専門家へ!

自筆証書遺言の作成は簡単と思われがちですが、無効になるケースも珍しくありません。

失敗を防ぐためにも、書いた後のチェックがとても重要です。

専門家に見せてアドバイスを受けることで、将来のトラブルを未然に防ぐことができます。

当事務所では、自筆証書遺言の作成に関するサポートを行っています。

作成前のアドバイスや作成後のチェックもできます。

初回相談は無料です。

詳しくはこちらをご覧ください。