【再婚家庭の相続】夫の前妻の子と揉める原因と今できる対策

再婚家庭が増えている今、相続トラブルも増加しています。

特に「夫が再婚・妻は初婚」というご家庭では、夫の前妻との間にお子さんがいる場合、将来の相続で揉める可能性が高くなります。

「前妻の子と揉めたくない」

「自分や自分の子の生活を守りたい」

そんな思いの方に向けて、相続トラブルの原因と5つの具体的な対策をお伝えします。

再婚は相続トラブルが起こりやすい

再婚は、人生のすばらしい門出ですが、相続トラブルが発生しやすい傾向にあります。

たとえば、再婚家庭における相続トラブルの火種は、以下のようなものです。

  • 「夫が亡くなったら、前妻の子が遺産を主張してきた」
  • 「遺産分割協議で、初めて前妻の子と顔を合わせることに」
  • 「住んでいた家を出ていくよう言われた」

このような話は、決して珍しくありません。

なぜかというと、たとえ今は関わりがなくても、「前妻の子」には法律上の強い権利があるからです。

再婚後にも子供に恵まれたご家庭では、特にそれぞれの権利を不公平なく守るための対策が求められます。

法律や感情的な対立が絡むことも多いため、事前にしっかりと準備を行うことが重要です。

再婚の相続における権利関係

再婚では、前配偶者の子と現配偶者との間で相続権の調整が必要です。

法律上、前配偶者には相続権が認められない一方で、前配偶者の子には遺産相続の権利があります。

適切な遺産分割が行われない場合、不利益や感情的な対立が生じることがあります。

また、養子縁組をした場合にはさらに法的関係が複雑になるため、注意が必要です。

夫が亡くなった時、法定相続人になるのは、次のような人たちです。

  • 配偶者(=あなた)
  • 子ども(前妻の子も含む

たとえば、あなたと夫の間に子どもがいない場合、夫の財産は「あなた(配偶者)」と「前妻の子」で分けることになります。

法定相続分は、

  • 配偶者(あなた)…1/2
  • 子(前妻の子)…1/2

前妻の子が2人いれば、子の1/2を2人で等分し、それぞれ1/4ずつになります。

ここで重要なのは、「会ったこともない前妻の子でも、財産を請求する権利がある」という点です。

もし遺言書がなければ、相続人全員で「遺産分割協議」をしなければなりません。

つまり、前妻の子との話し合いが必要です。

再婚の相続で揉めないための5つの対策

再婚では、相続トラブルが起きる可能性を事前に防ぐための準備が極めて重要です。

遺言書や家族全体での認識共有などの対策を講じることで、感情的な対立や法的問題を未然に防ぐことができます。

1. 遺言書を作成する

遺言書は、遺産相続におけるトラブル回避の基本となる手段です。

再婚では、前配偶者との子と現配偶者の権利関係が複雑になりがちなため、遺言書に財産分配について具体的に記載することで安心感を得られます。

遺言書がない場合、法定相続分に従って財産が分けられるため、意図しないトラブルにつながることがあります。

遺言書があれば、現妻が前妻の子と「遺産分割協議」をする必要がない点が大きなメリットです。

たとえば…

  • 「自宅は妻に相続させる」
  • 「預貯金の〇〇万円は前妻の子に渡す」
  • 「残りはすべて妻に」

このように具体的に書いておけば、あなたの住む家や生活資金を守ることができます。

※注意:前妻の子には「遺留分(最低限の取り分)」がありますので、完全にゼロにすることはできませんが、調整は可能です。

遺言書は「公正証書遺言」にするのがおすすめです。

家庭裁判所の検認が不要で、偽造や紛失のリスクがほとんどないからです。

2. 生命保険を活用する

生命保険は、相続対策として非常に有効です。

生命保険金は「受取人固有の財産」とされるため、遺産分割の対象になりません。

たとえば、受取人を「妻(あなた)」にしておけば、前妻の子と話し合うことなく、直接あなたが保険金を受け取れます。

この保険金を老後資金や生活費として確保することで、「多くの遺産を前妻の子に持っていかれた…」というような事態を防げます。

生命保険は非課税枠(500万円×法定相続人の人数)があるため、相続税対策としても有効です。

3. 自宅の名義を確認する

夫婦で住んでいる家が「夫名義」の場合、相続でトラブルになることがあります。

もし遺言書がなければ、その家も相続財産として、前妻の子と分ける対象になります。

「家を売って分けるべき」と主張されると、住み慣れた家を出ていかなければならない…という事態にもなりかねません。

そのため、事前に以下のような準備をしておくと安心です。

  • 自宅の名義を確認する
  • 夫の遺言で「自宅を妻に相続させる」と明記する
  • 場合によっては、夫婦共有名義や贈与も検討する

4. 家族信託を検討する

近年注目されている「家族信託」も、再婚家庭の相続対策として有効です。

家族信託とは、財産を「信頼できる家族」に託して、管理・運用・承継の方法を事前に決めておく仕組みです。

たとえば、以下のような設計ができます。

  • 「夫が認知症になったら、妻が財産を管理できるようにする」
  • 「夫が亡くなったら、家は妻がそのまま使えるようにして、妻の死後に子に渡す」

ただし、契約書の作成や仕組み作りには専門知識が必要なので、行政書士や司法書士など専門家に相談しましょう。

5. 日頃から夫とよく話し合っておく

何より大切なのが、「夫婦間でしっかり話しておくこと」です。

  • 自分の死後、家族にどうしてほしいか
  • 遺言書を作る意思があるか
  • 前妻の子との関係をどう考えているか

こうした話はなかなか切り出しにくいですが、とても大事なことです。

実際、相続トラブルは「夫が何も対策してくれていなかった」という場合に発生するケースが多いと言われます。

「まだ早い」ではなく、「今だからこそ」準備しておきましょう。

【まとめ】遺言書作成は専門家へ!

再婚家庭における相続トラブルは、事前の対策が重要です。

特に「夫の前妻の子ども」との相続は、相手が主張してくるかどうかに関わらず、法律上の権利として発生します。

だからこそ、以下のような準備をしておきましょう。

  1. 遺言書の作成
  2. 生命保険の活用
  3. 不動産の名義チェック
  4. 家族信託の導入
  5. 日頃の話し合い

今できる準備をしておくことが、あなた自身の安心にもつながります。

どのような家庭においても、相続の準備は「家族への思いやり」です。

もし不安がある場合は、相続に強い専門家に相談してみてくださいね。

当事務所では、遺言書作成をトータルでサポートします。

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