遺言書作成費用の素朴な疑問に答えます!初心者向けガイド

1.はじめに
「遺言書を書いた方がいいとは思うけれど、費用がよく分からなくて踏み出せない」。
そんな不安を抱えている方は少なくありません。
実際に、遺言書の作成にかかる費用は一律ではなく、選ぶ形式や内容の複雑さによって異なります。
この記事では、遺言書の種類ごとの費用の目安・専門家への報酬・費用を抑える工夫について、行政書士の視点からわかりやすく解説していきます。
2. 遺言書の種類によって費用は違う?

遺言書にはいくつかの種類がありますが、代表的なのは「自筆証書遺言」と「公正証書遺言」です。
自筆証書遺言は、その名のとおり本人が自筆で作成する遺言で、紙とペンがあれば誰でも無料で作成することができます。
しかし、法律の要件を満たしていないと無効になってしまうため、慎重に作る必要があります。
なお、2020年から法務局で自筆証書遺言を保管してもらえる制度がスタートしました。
この制度を利用すれば、遺言書が見つからない、あるいは改ざんされてしまうといったリスクを避けることができます。
1通あたり3,900円の保管手数料がかかります。
一方、公正証書遺言は、公証人という法律の専門家が関与して作成される遺言です。
手数料がかかりますが、形式や内容の不備によって無効になる心配がほとんどなく、後々のトラブルも避けやすいという大きなメリットがあります。
3. 公正証書遺言を作るといくらかかる?

公正証書遺言の作成に必要な費用は、主に3つの項目に分かれます。
まず、公証人に支払う手数料がありますが、これは遺言で扱う財産の金額によって異なります。
たとえば、3,000万円程度の財産であれば、手数料の目安はおよそ3万円です。
<参照>日本公証人連合会HP
次に、証人への謝礼が必要です。
公正証書遺言の作成には、必ず2名の証人が立ち会う必要があります。
知人に頼むことも可能ですが、専門家に依頼する場合には、1人あたり5千~1万円程度の謝礼を用意するのが一般的です。
また、戸籍謄本や不動産の登記事項証明書を準備する際の取得費用や交通費など、その他の実費も発生します。
これらは合計で数千~1万円ほどかかると考えておくと良いでしょう。
4. 専門家に頼むときの費用は?

遺言書の作成を専門家に依頼する場合は、報酬が必要です。
依頼先の資格や業務内容によって金額は異なります。
たとえば、行政書士に依頼する場合はおおよそ5~15万円程度、司法書士であれば7~15万円程度が一般的です。
弁護士に依頼する場合は、10万円を超えることがほとんどです。
これらの報酬には、相談の対応・遺言内容の原案作成・公証人とのやり取り・証人の手配・資料の収集などが含まれていることが多いです。
どこまでを依頼するかによって金額が大きく変わります。
5. なぜ費用に幅があるの?

遺言書作成費用に幅があるのは、いくつかの要因が関係しています。
まず、遺言の内容そのものが複雑であればあるほど、作成には手間がかかります。
たとえば、相続人の数が多かったり、不動産の詳細な記載が必要な場合などです。
また、再婚家庭で前妻との子どもがいる場合や内縁関係・同性パートナーに遺贈を考えているような場合も、法的な配慮が必要となり、費用がかさむ傾向があります。
さらに、専門家によって報酬の設定は異なります。
地域密着型で比較的低価格に対応している事務所もあれば、都心部で手厚いサポートを提供する分、報酬が高めに設定されている事務所もあります。
どの範囲まで任せるかによっても、費用に差が生まれます。
6. 費用を抑える方法はある?

費用が気になる場合でも、工夫次第である程度抑えることが可能です。
たとえば、自筆証書遺言を利用すれば、作成そのものにお金はかかりません。
法務局での保管を利用すれば、3,900円で安全性も確保できます。
また、複数の専門家から見積もりを取って比較したり、「遺言+任意後見契約」などのパッケージプランで割引を受けたりする方法があります。
7. 費用をかける価値があるケースとは?

費用をかけてでも専門家に依頼するべきケースもあります。
たとえば、相続人同士の関係があまり良くない場合やもめそうな気配がある場合は、法的にしっかりとした形の遺言を残すことでトラブルを未然に防ぐことができます。
また、再婚していて前婚の子どもがいる場合や内縁関係・同性パートナーとの関係を法律で保護したい場合も、公正証書遺言の作成を検討すべきです。
事業を引き継がせたい、不動産を特定の人に遺したいといった希望がある場合にも、内容を明確に記しておくことで、相続時の混乱を避けることができます。
これらの場合の費用は、将来の安心のための「投資」と捉えると良いでしょう。
8. よくあるQ&A(費用に関する素朴な疑問)

費用に関してよくいただくご質問として、「費用は一括払いしかできませんか?」というものがあります。
基本的には一括払いですが、事務所によっては分割の相談に応じてくれる場合もあります。
また、「相談だけして、やめても良いですか?」というご質問も多いのですが、もちろん相談だけで終了しても問題はありません。
初回相談が無料の事務所も増えてきていますので、まずは気軽に聞いてみることをおすすめします。
さらに、「作成後に内容を変更したい場合、また費用がかかりますか?」という点については、遺言書は内容を変更する際に新たに作り直すことになるため、原則として再度費用が発生します。
ただし、自筆証書遺言であれば、自分で書き直すことでコストを抑えることも可能です。
「家族に内緒で作成できますか?」という疑問に対しては、公正証書遺言であっても、内容を秘密にすることは可能です。
証人の人選などについても配慮が必要ですので、気になる方はあらかじめ専門家に相談しておくと安心です。
9. まとめ:遺言書作成は専門家へ!

遺言書の作成費用は、「どの種類を選ぶか」「誰に依頼するか」「内容の複雑さ」など、さまざまな要因で異なります。
ご自身や家族の事情に合わせて、最適な方法を選ぶことが大切です。
「もっと早く相談しておけばよかった」と言われることも多いのが、遺言書のご相談です。
費用に対する不安を払拭し、安心して想いを遺せるよう、専門家として丁寧にお手伝いさせていただきます。
遺言書は、未来の家族への「やさしい贈り物」です。
ご不明な点があれば、いつでもお気軽にご相談ください。
当事務所では、遺言書作成をトータルでサポートします。
詳しくはコチラでご確認ください。