遺産分割協議のトラブルを防ぐ方法と遺言書のすすめ

「遺産分割協議でもめた。」という話を耳にしたことはありませんか。
テレビや雑誌で兄弟姉妹の争いが取り上げられることもあり、少し身構えてしまう人もいるかもしれません。
実際のところ、相続の現場では想像以上に感情が絡み合い、ちょっとした意見の食い違いから話し合いが長引くことは珍しくありません。
場合によっては、調停にまで発展してしまうケースもあります。
普段は仲の良い家族でも、お金や不動産の問題が絡むと、思わぬ行き違いが生まれてしまうことが多いです。
「うちは仲がいいから大丈夫」と思っていても、相続トラブルは誰の家にも起こりえます。
だからこそ、遺産分割協議について正しい知識を持っておくことが大切です。
遺産分割協議とは?

遺産分割協議とは、簡単に言うと「家族みんなで遺産をどう分けるか話し合うこと」です。
法律上では相続分というものが決まっていますが、遺言書がない場合、財産(現金・預金・家・土地・株式など)をどう分けるかは相続人全員の話し合いで決める必要があります。
相続人が2人以上いる場合、避けて通れないのが、この遺産分割協議です。
話し合いがスムーズに進めばよいのですが、思わぬトラブルに発展することも珍しくありません。
話し合いがまとまったら、遺産分割協議書を作成します。
よくあるトラブル

まず、家や土地といった不動産は、お金のように簡単に分けることができません。
「誰が住むのか」「売って分けるのか」といった問題で意見が分かれ、協議が長引く原因となることが多いです。
また、相続人の1人が話し合いに応じない場合もあります。
「連絡がつかない・集まりに出てこない・感情的になって話が進まない」などの状況では、協議自体が停滞してしまいます。
長年の家族関係や感情が絡むことも少なくありません。
「親の介護は私の負担が大きかったのに」という思いや「昔からあの子ばかり親に可愛がられていた」という思いがぶつかることで、些細なことでも意見が食い違うと、争いに発展してしまいます。
そして、「法律上平等に分けたい」という考えと「事情に合わせて分けたい」という考えの間で折り合いがつかず、協議が難航するケースもよく見られます。
遺産分割協議でもめないための工夫

トラブルを完全に避けるのは難しいですが、少し工夫することでもめにくくするのは可能です。
まず重要なのは、相続が開始したら、できるだけ早く話し合いを始めることです。
時間が経つほど気持ちは複雑になり、後から感情がもつれやすくなります。
最もおすすめなのは、元気なうちに少しずつ話し合いの場を持つことで、家族の安心につながります。
また、財産の内容や評価を明確にして共有しておくことも大切です。
現金や預金の額だけでなく、家や土地の評価、株式や債券の情報まで整理しておくと、後から疑念が生じにくくなります。
金銭的な価値だけでなく、思い出や感情の部分も尊重することがとても大切です。
形見の品や思い出の家など、数字には表せない大切なものを話し合いの中で考慮することで、相続人同士の納得感が高まります。
一番安心なのは「遺言書」

工夫をしても、やはり遺産分割協議はもめやすいものです。
そこで、最も確実で安心なのが、遺言書の準備です。
遺言書があれば、基本的に相続人同士で「どう分けるか」を話し合う必要がなくなります。
遺言書には「誰に何を渡すか」が明確に記されているため、家族が迷うことなく手続きを進めることが可能です。
不動産や会社など、分けにくい財産がある場合には特に大きな力を発揮します。
手続きがスムーズに進むことで、家族の負担も感情的な摩擦も大幅に減らすことができるでしょう。
元気なうちに遺言書を作っておくことは、家族の安心につながるだけでなく、あなた自身の思いやりの表れにもなります。
【まとめ】いま家族のためにできること

遺産分割協議は、仲の良い家族であっても、もめやすいものです。
しかし、「早めに話し合いをすること・財産や情報を整理して共有すること・専門家のサポートを受けること」で、トラブルを減らすことができます。
そして、何よりも有効なのは、遺言書を用意しておくことです。
遺言書によってあなたの想いを形にし、残された家族が安心して手続きを進められるようにすることは、何にも代えがたい贈り物となります。
まだ元気な今だからこそ、家族のために遺言書を考えるタイミングです。
遺産分割協議のことを考えると少し気が重くなるかもしれませんが、準備と工夫で安心して家族を守ることができます。
家族の笑顔と平和を守るために、遺産分割協議の知識を持ち、必要であれば遺言書を作ることをぜひ検討してみてください。
こうした小さな準備が、未来の大きな安心につながります。
当事務所では、遺言書の作成をトータルでサポートしています。
詳しくは行政書士ようこオフィスのホームページからご確認ください。