地震で遺言書がなくなったらどうしよう?災害に備える「安心の保管方法」とは

1. はじめに:地震と大切な書類のリスク

地震や豪雨などの自然災害は、日本で暮らす私たちにとって常に身近なリスクです。
そんな災害時に意外と見落とされがちなのが、大切な書類の保管について。
中でも、相続に関わる「遺言書」は、作っただけでは安心できません。
災害で失われてしまえば、せっかくの想いが形にならず、相続人にきちんと引き継がれない可能性があります。
「もし自宅が地震で倒壊して、遺言書が見つからなかったら・・・?」
そんな不安を抱えている方にこそ、確実に遺言を残すための保管方法について知っていただきたいと思います。
2. 自筆証書遺言のリスクと現実

ご自分の手で紙に書く「自筆証書遺言」は、思い立った時にすぐに作れる点がとても手軽です。
費用もかからず、自宅で完結できるので、多くの方がこの方法を選ばれています。
しかし、自筆証書遺言には、大きな落とし穴があるのも事実です。
自宅で保管していた遺言書を地震や火災で紛失してしまうケースは珍しくありません。
また、遺言の存在を家族が知らずにそのまま放置されてしまったり、見つけた相続人が意図的に隠してしまったりといったトラブルも、実際に起こっています。
遺言は、ただ「書くこと」だけが大事なのではありません。
大切なのは「将来きちんと使える状態で残しておくこと」です。
そうでなければ、せっかくの準備も意味を失ってしまいます。
3. 災害に強い公正証書遺言

そこでおすすめしたいのが、「公正証書遺言」という方法です。
公証人と一緒に作成する遺言で、原本は公証役場で厳重に保管されます。
たとえ自宅が地震や火災に見舞われても、遺言の原本が失われる心配はありません。
また、公証人が内容を確認して作成するため、形式的なミスが起きにくく、法的なトラブルも避けやすくなります。
さらに、家庭裁判所の検認が不要なので、相続人にとっても手間が少ないです。
費用は財産額に応じてかかりますが、「確実に遺言を残したい」「失くすことが心配」という方には、公正証書遺言がもっとも安心できる方法といえるでしょう。
4. 法務局の自筆証書遺言保管制度

とはいえ、「やはり自分の手で書きたい」「公証人に頼むのは少しハードルが高い」と感じる方もいらっしゃると思います。
そんな時にご検討いただきたいのが、法務局による「自筆証書遺言保管制度」です。
遺言は法務局で大切に保管され、地震や火災があっても失われることはありません。
また、相続人が遺言の存在を知らなかったとしても、必ず連絡がいきます。
しかも、公正証書遺言と同じく家庭裁判所の検認が不要です。
費用も3,900円と比較的手頃で、費用を抑えつつ安全に遺言書を保管したい方には、とても心強い制度と言えるでしょう。
5. 遺言書も「災害への備え」のひとつ

災害に備えて非常用の水や食料、懐中電灯などを準備されている方は多いと思います。
「遺言書の保管」も、災害対策のひとつとして考えておくことが大切です。
過去には、大きな地震で自宅が倒壊し、金庫ごと遺言書が失われてしまったり、家族がその存在を知らずに相続の手続きが進んでしまったりというケースも報告されています。
遺言書は、書いた後に「どこで・どのように保管するか」まで考えて初めて、意味のある備えになります。
6. まとめ:今できる「安心の備え」を

自然災害がいつ起こるかわからない日本において、大切な想いを確実に遺すためには、「保管方法」こそがカギになります。
自筆証書遺言を自宅で保管している方は、今一度そのリスクを見直してみましょう。
もし少しでも不安があるようでしたら、公正証書遺言や法務局の保管制度の利用をおすすめします。
どちらの方法も、あなたの大切な気持ちをしっかりと未来へ届けるための、大きな安心につながります。
「書いて終わり」ではなく、「きちんと届ける仕組み」まで備えてこそ、本当の意味での遺言です。
もし不安なことがあれば、行政書士などの専門家にご相談いただければ、一緒に最適な方法を考えるお手伝いができます。
当事務所では、遺言書の作成をトータルでサポートしています。
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